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竹中ギー太の忍法帖

ノンポリギター弾きの日々異常無し日記

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ジャズスタンダードコード進行の考え方 AB形式

少し間が開いてしまいましたが元気にやっております。

 

前回は「リズムチェンジ」というコード進行でAABA形式を掘り下げてみましたので、今回はAB形式で32小節の進行を取り上げます。

 

20世紀前半に主にブロードウェイのミュージカルのために作曲された歌曲は、出来るだけレコードに収まるための3分間形式で作曲されています。

ブロードウェイミュージカルの全盛期は1900年~1950年ですので、その大部分は三分間レコードの時代のものです。

 

1930年代に入るとSP盤が主流となり、AB面20分に4曲ほどの録音が基本でした。

このSP盤は大量に作られ現代でも簡単に手に入ります。

ブルーノートレーベルなどの50年頃までのアルバムはSP盤の編集ものです。

50年代に入るとAB面40分のLPレコードが主流となり大曲化が進みます。

 

現代、ジャズスタンダードと呼ばれている曲は20~30年代に作曲されたものが多く、3分間形式と呼ばれる作曲法です。

1コーラス32小節が基本で、AABA(各8小節)とAB(各16小節)はスローでもミディアムでも3分間にまとまります。

時代が下ると多種類の構成の曲が増えていきますが、繰り返しを重視した場合はこれらの形式の変形である場合がほとんどです。

 

他には、ABA形式、AAB形式、16,16,8,16の形式、AABA(最後のAが12小節)、ABCA形式、ABCD形式、などがあります。

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目次

 

1、AB形式の例として「オールオブミー」を選びます。

 


All Of Me - Charlie Parker

 

コード進行は

 

Aパート

||   CM7     |              |      E7       |            |

|    A7        |              |      Dm7    |            |

|   E7         |              |     Am7     |             |

|   D7         |              |     G7        |            ||

Bパート

||    CM7    |               |     E7        |             |

|     A7       |               |    Dm7      |              |

|   FM7      | Fm7B♭7| CM7     | E♭dim  |

|  Dm7♭5 |     G7      |    CM7    | Dm7G7  ||

 

良く見ると、ABACの形式であることが分かります。

AもBも前半のコードが同じです。メロも同じ。

 

これをプロポーズに例えると。

A    貴方に決めました結婚してください → 少し考えてみます。

B      もう一度言います結婚してください → その言葉を待っていました。

 

ちょっと古風な言い回しですが、雰囲気は伝わると思います。

 

これはこの曲だからしっくりくるのであって、失恋ソング等では印象が変わってきます。

曲を覚えたいときは必ず歌詞をよく読んで自分の中で消化してください。

 

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2、スタンダードで使用されるコードの解説

 

使用されるコードは、ダイアトニックコード、機能コード、セカンダリードミナントの3種類です。

転調した場合は、転調先の機能になります。

 

Ckeyのダイアトニックコード

CM7、Dm7、Em7、FM7、G7、Am7、Bm7♭5

 

機能コードとしてサブドミナントマイナー

Fm7 (多数の代理コードあり)

 

セカンダリードミナント

12個の7thコード

 

他にもディミニッシュコードが重要な役割を果たす場合もあります。

オールオブミーの28小節目はE♭dimとしましたが、これはメロディがB音であるためで、アドリブでは一般的に6度7thであるA7で行います。

このタイプの曲では非常に多いので覚えておくと役に立ちます。

 

60年代以降のスタンダード曲にはモードの部分も見られますが、ジャズスタンダードとしては一般的ではありません。

 

 

3、セカンダリードミナントについて

 

ドミナントコードとはトニックに進行する7thコードのことで、keyCの場合は、G7とその裏コードのD♭7です。

しかし、全てのコードに対してドミナントを設定することが出来るため、可能性としては一つのkeyで12個の7thコードが想定されます。

 

セカンダリードミナントはダイアトニックコードではありませんので使用スケールも変わってきて、最初は戸惑うかもしれません。

簡単に考えるために3種類に分けてみます。

 

ミクソリディアン系  C7 (トニック)   G7(→C)

オルタード系  E7(→Am7)      A7 (→Dm7)     B7(→Em7)

 

ただし、カッコ内のコードに進行しない場合でもこのスケールサウンドが使用される。

 

リディアン7th系 それ以外の7thコード 7つ

 

セカンダリードミナントでもそれぞれ裏コードが存在するため一つのkeyでも12個の7thコードが存在するのです。

 

セカンダリードミナントを理解するためにはオールオブミーは格好の材料となります。

 

3小節目のE7はAm7への進行が想定できるためオルタードサウンドです。

次のA7はDm7への進行ですのでオルタードサウンドです。

次はE7→Am7の進行を挟んで、D7(リディアン7th)、G7(ミクソリディアン)となります。

 

3種類のドミナントが登場しますので、ここを理解できればスタンダード進行制覇への重要な一歩となります。

 

4、最後の8小節

 

これはスタンダード進行の定番と言っていい流れで、おそらく半数近い曲はこの流れで終わりに向かいます。

 

コード進行を理解するためには後ろから覚えていくのが楽です。

最後がこれならもう全体の1/4を覚えたことになりますから。

 

サブドミナント → サブドミナントマイナー → トニック → 6度7th → サブドミナント → ドミナント → トニック → ターンバック

 

これはしっかりと覚えて楽にアドリブできるようになりましょう。

流れとしてはブルースの5~12小節と同じです。

 

やはり最も重要な部分はセカンダリードミナント(オルタード系)である6度7hの部分です。

トニックから6度7h 、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ の流れは最も多用されますのでセットで覚えると楽になります。

 

その前の、FM7→Fm7 も多用されます。

普通はトニックに進行しますが、半音下のコードであるEm7はトニックの代理であると共に6度7hのⅡ-Ⅴ分割にもなりますので良く見られます。

 

コーラスのラストは充分な重みをもって演奏されるべきですので、調整を安定させるブルーノートサウンドは最も効果を発揮します。

最後の4小節はありきたりのⅡⅤフレーズよりもブルーノートフレーズを推奨します。

 

 

5、トライアドで曲の骨組みを覚える

 

曲の構成を体で覚えるためにはトライアドが最も効果的です。

 

全てのコードでローワーストラクチャートライアド(コードのルートからのトライアド)で演奏してみてください。

最も重要なイヤートレーニングになります。

 

トライアドだけでの演奏法はこちらにまとめました。

 

www.tokio.work

 

同様にミドルストラクチャートライアド(5度からのトライアド)も演奏してみてください。

CM7 → G△  E7     → Bdim      A7   → Edim      Dm7   → Am

Am7  →  Em       D7     → Am       G7     →   Dm 

 

アッパーストラクチャートライアド(2度からのトライアド)

CM7     →  D△  E7     → Fm      A7    → B♭m     Dm7    → Em

Am7     →  Bm      D7    → E△  G7    → A△

 

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5、さらに一歩進んでテトラコード

 

CM7  → C2    G2    D2     の3つが、ローワーストラクチャー、ミドルストラクチャー、アッパーストラクチャーになります。

 

Dm7    → Dm4、Am4、Em4    です。

G7    →  G2、D2(♭3)、A2   

見慣れない表記ですが理屈で考えるとこうなります。

 

E7(alt)では、E(♭2)、B(♭2、♭5)、F2(♭3)

ですが、altの選定によって変化します。

 

テトラコードは多くの音楽家が思考停止した理論ですので未開発な部分もあります。

数学的に考えれば簡単に答えは出ます。

2度や4度を含むことによってさらに優れたイヤートレーニングになります。

 

6、コピーしたフレーズを使用する。

 

この方法論はジャズの初期から一般的です。

ある演奏家ら次の演奏家がどのように影響を受け変化させたかを注意深く聞き取ることが上達のカギです。

オリジナルは知りようがありませんので気にするだけ無駄です。

 

研究例として、ビバップからウエストコーストジャズへの流れが私には参考になりました。

例 チャーリーパーカーからハービーマン

 

7、ジャズアドリブの参考書を使用する

 

1980年代以降のものなら参考になるかもしれません。

90年代以降にはやや気の利いた書籍が出ています。

それ以前のものは百害あって一利なしかと思います。

 

特にダイアトニックスケール理論は意味が分かりませんね。

 

8、アドリブソロをコピーする

 

理想的なソロを覚えて何百回も演奏することは、音楽性を作る糧となります。

1コーラスか2コーラスでも構わないと思います。

 

それ以降のコーラスはストックフレーズの参考程度で良いと思います。

 

一生付き合えるソロを見つけ出してください。

 

9、ジャズスタンダードは現代人の千夜一夜物語です。

 

シェエラザードは複数人です。今も昔も。

 

クラシックギタリスト francesco buzzurro の all of me


All of Me - Francesco Buzzurro

 

10、音楽を楽しみ、幸せになるという事

 

ジャズスタンダードに限りませんが、音楽と共に生きると言うことが目的なのです。

 

奥が深いジャズスタンダードの第一歩となる解説でした。

何が言いたいのかさっぱりわからん、と思われた方は質問くだされば出来るだけお答えします。

 

ジャズスタンダードの魅力は演奏家の数だけあります。

方法論の探求は一生続くものなのです。