ヘキサトニックスケールとトライアドペア
ヘキサトニックスケールとは1オクターブ6音階のスケールのことです。
トライアドペアとは2つのトライアドでひとつの複合サウンドを作る手法です。
以前の記事でもヘキサトニックスケールを取り上げましたが、
ネット上でのデータが非常に少ない分野であるようなので、もう一度詳しく解説してみたいと思います。
書いてる本人の私も良く理解できていない可能性が高いので、間違いはご指摘ただければ感激です。
ヘキサトニックとトライアドペアを同一の理論とするためには、常に同一音の無い二つのトライアドを使用しなければなりません。
と言うことで、この二つは別の理論です。
はっきりさせるために、別々に考えていきます。
1、トライアド
二種類の考え方があるようです。
4声コードトーンから3音を選んだものがローワーストラクチャー
9th以上のテンションが1つ入ってミドルストラクチャー
テンションが2つ以上入ってアッパーストラクチャー
この場合は一つのコードに7つのトライアドが出来て複雑になり過ぎるために、
ルートからローワーストラクチャー、5度からミドルストラクチャー、9度からアッパーストラクチャー、と整理して代理のトライアドも考えると言う方法があります。
3の階乗である6個のパターンがあります。
135、153、315、351、513、531
展開形が二つありますので、6×3のメロディックパターンが出来ます。
4音ユニットによる練習
1351、3513、5135、1351 ~
1353、3515、5131、1353 ~
一般的に使用できるトライアドは5種類のようです。
メジャー135
マイナー1♭35
オーギュメント13♯5
ディミニッシュ1♭3♭5
sus4 145
sus4以外はダイアトニックスケール上に現れる3度堆積のトライアドです。
2、アウトサイド・トライアド
トライアドの中に一つ以上のアウトサイドノートを持っているものを、アウトサイド・トライアドと呼びます。
インサイド・トライアド以外のトライアドはすべてこちらに入ります。
基本的にはアウトな音は解決しなければなりませんが、音楽的に狙ったものであれば解決する必要はありません。
アウトサイドは全体から見て少なめでなくてはならないと思います。
アウトサイドトライアドの使用例
チャーリーパーカーのチチの冒頭のメロディより inFで
ドファシ♭ ラファドラ → Fsus4からF
3、トライアドペア
ふたつのトライアドの連結はすべての可能性を考慮します。
スケールでは無くて方法論として捉えてください。
分かりやすくメジャートライアドのみで始めてください。
Cに対して11個のメジャートライアドの連結が可能です。
ただし、同一音が含まれる場合があるのでヘキサトニックとは切り離して考えるべきかもしれません。
連結したうえでパターンの練習になるわけですが、ここはあまり深刻に考えず、アドリブのアイディアとしておさえてください。
マイナートライアド、メジャーとマイナー、さらにsus4など可能ですが、アウトサイドな連結に関してはまとまった理論書はありません。
Hexatonics: Melodie-Instrumente. Lehrbuch mit CD
4、ヘキサトニックスケール
1オクターブで6音のスケールの総称です。
ホールトーンスケール、全、全、全、全、全、全
オーギュメントスケール 全半、半、全半、半、全半、半
は、特徴的なシンメトリックスケールです。
ペンタトニックのページで現れたメジャー♭2ペンタトニックですが、♭2をルートにして6度を追加すれば、使用頻度の高い6音ディミニッシュであることに気がつくと思います。
ブルーノートスケール 全半、全、半、半、全半、全
は非常に実用的なスケールです。
5、ヘキサト二クス
同一音を含まないトライアドペアのうち、インサイドで使用可能なものを、ジェリー・バーガンジーは「ヘキサト二クス」と名付けて一冊の本にまとめています。
私事で恐縮ですが、バーガンジーはこの本を出版するために署名を集めていまして、私も日本から署名を送りました。ネットですが。
トライアドペアは使い方が限られるものも多く、並べてエクササイズを作ることに反発を覚えたのですが、こちらの理論の場合は、使用方法が明確なものを徹底的に練習すると言う考えです。
D/C
Cの上にアッパーストラクチャーであるDを乗せてサウンドさせるもの。
ドミソ レファ♯ラ ミソド ファ♯ラレ ソドミ ラレファ♯
1のトライアドで練習したパターンを使用します。これがヘキサト二クスの差別化です。
2音ユニット ドミ レファ♯ ミソ ファ♯ラ ソド ラレ
4音ユニット ドミソド レフア♯ラレ ミソドミ ファ♯ラレファ♯ ソドミソ ラレファ♯ラ
2と3 ドミ レファ♯ラ ミソ ファ♯ラレ ソド ラレファ♯
これは12keyで練習しなければなりませんが、応用が効きやすいので必要な分量で構わないと思います。
普通に考えて、C△7、C7、Am7、あるいは様々なオルタードコードに応用可能です。
例えば、F♯7alt
Dm/Cm
CmにアッパーストラクチャーであるDmを乗せてサウンドさせるもの
ドミ♭ソ レファラ ミ♭ソド ファラレ ソドミ♭ ラレファ
これは、Cm7、F7、Am7♭5、E♭△7、B7alt に使用できます。
Bm/C
BmはCのアッパーストラクチャーなのでD/Cと同様なサウンドが期待できるだけでなく、マイナートライアドとの連結による新たなサウンドが期待できます。
ドミ♭ソ レファ♯シ
B/C
BトライアドにはCメジャーから見てアウトサイドなD♯音が含まれます。
D♯音はアウト感が弱いと考えられます。
ドミソ レ♯ファ♯シ
B+/C+
Cの6音オーギュメントスケールと同一音ですが、トライアドパターンの使用によって差別化が可能です。
ドミソ♯ レ♯ソシ
F♯/C
Cの裏コードに当たるF♯との連結でディミニッシュ系のドミナントサウンドが作り出されます。
C7、E♭7、F♯7、A7
ドミソ ド♯ファ♯ラ♯
B♭/Cm
柔らかいマイナーサウンドが作られます。
Cm7、F7sus、E♭△7、A♭△7、Fm7、B♭7sus、Am7♭5
ドミ♭ソ レファシ♭
Bm/Cm
Cmに対して♯4の音が追加されている。インサイドに近い音。
Cm7、Am7、F7、A♭7、B7、D7
ドミ♭ソ レファ♯シ
D/Cm
Cmに対して♯4が追加。
Cm7、Am7、F7、A♭7、B7、D7
ドミ♭ソ レファ♯ラ
F♯m/Cm
Cmの裏コードであるF♯mを追加してディミニッシュサウンドを作り出している
C♯ディミニッシュ関係
ドミ♭ソ ド♯ファ♯ラ
D+/C+
全音関係のオーギュメントトライアドはホールトーンスケールと同一となる。
トライアドパターンによる差別化。
ドミソ♯ レファ♯ラ♯
Ddim/Cdim
Cディミニッシュサウンドを作り出す。
ドミ♭ソ♭ レファラ♭
Bm/C+
ホールトーンメジャー7th
Am7、C△7♯5
ドミソ♯ レファ♯シ
Bdim/Cm
普通のマイナーサウンド。
Cm7、F7、Am7♭5
ドミ♭ソ レファシ
E♭m/C
E♭m7の構成音、ミ♭、ソ♭、シ♭、はCのkeyのブルーノートです。
Cメジャーコードで「bluesy」にサウンドします。
ドミソ ミ♭ソ♭シ♭
6、まとめ
ヘキサトニックスケールは大雑把に言って、インサイドな6音スケールとインサイドで同一音を持たないトライアドペア(ヘキサト二クス)があります。
トライアドペアであればアウトサイドなサウンドにも筋が通った解釈が可能です。
ヘキサト二クスに関しては、トライアドの練習の上に成り立つもので、順序が正しければ難しいことはありません。
そんなに新時代なサウンドと言うほどでは無いと思いますが、現状では使用者は限られていますので、自由自在に使いこなせれば相当なアドバンテージを得ることが出来ると思います。
ジャズはもちろんファンクやヘヴィメタルやポップスへの使用が期待できます。
お金になるとかスターになれるとかの秘法ではありませんが、音楽家であれば豊かな音楽を作り出すに足る素晴らしい理論だと思います。
最後のブルージーサウンドのスケールですが、ファンキーサウンドのかなめである4度が無く代わりに3度が入っています。
4度を含む別のへクサト二クスも存在します。B♭/C
ブルースにおいてはこのサウンドをコードごとにチェンジして使用することも可能です。
4度を理論的にどうとらえるかの問題ですね。
まだまだ考察の余地がありそうな理論ですので、ネットを使って研究結果の交換がしたくなるような音楽理論でした。