ギターのスケール練習方法 ダイア・トニック・スケール
20世紀に出版されていたような初心者から中級者までターゲットを広く見た教則本は、ダイアトニック・スケールの練習に10ページ割いて、続いてコード分解フレーズへと進んでました。
私もお世話になったのですが、他の方達はどうだったのでしょう?
こういった本にはスケール・ポジションは書いていても、それ以上のことは書いていませんでしたが。
なにが言いたいのかと言うと、現代ではポジション表などどこでも手に入るし、自分で書き出すことも簡単です。
それからどうするのか?ということです。
ギターの場合(他の楽器でも)12keyのダイアトニックスケールを全音域で練習しておかないと五線譜に対応できるようにはなりません。
一生タブ譜の人ならダイアトニックのスケール練習は必要ありませんね。
百害あって一利なしです。
今回は読譜とインプロヴィゼイションの基本となるダイアトニック・スケールの練習方法について考えてみます。
目次
- 1、Cで出来れば半分出来たのと同じ
- 2、最初の一歩
- 3、練習の時間配分
- 4、スケール練習は進化させる
- 5、ハーモニックな練習法
- 6、スタンダード進行に合わせたスケール練習
- 8、メロディック・マイナーとハーモニック・マイナーは?
- 9、メロディック・リズム
- 10、1年間練習した人は
- 11、最後に
1、Cで出来れば半分出来たのと同じ
keyCでの練習には時間をかけたほうがいいと思います。
特にギターのような音域の広いフレット楽器の場合は、視覚的に有利です。
ただし、これはCkeyで徹底的に練習した後の話で、Cだけに限って言えばギターでのスケール練習は簡単ではないと思います。
2、最初の一歩
本当の最初の一歩はドレミファソラシドを鳴らすだけですが、スケール練習の最初の一歩は全音域で連続して演奏することです。
7音ですから簡単ではないと思います。
6弦解放のE音から1弦3FのG音を最初のポジションとします。
ミファソラシドレミファソラシドレミファ㋞ファミレドシラソファミレドシラソファミ
㋞が最高音です。
講師によっては開放弦を含むスケール練習を勧めない人も居ます。
E音は3度ですので、3ポジションとなります。
次の6弦1FのF音のポジションは4ポジション。
6弦3FのG音(この場合中指から)は5ポジション。
5FのA音からは、6ポジション。
7FのB音からは、7ポジション。
8FのC音からは、1ポジション。
10FのD音からは、2ポジション。
12FのE音では一周して3ポジションです。
(これはkeyFで考えると6弦1Fが第一ポジションになるので分かりやすいです)
ギターの全音域と言うことは、19F(クラシックギター)~24F(ヘビメタ系のギター)で変わってきますが、全部やるべきです。
カッタウェイの関係で難しい場合は最低15Fまでは行う。
この練習はポジション移動も連続して行って、最低音から最高音まで途切れなく演奏できるようにします。
これをやるとフレットが減ります。
スケール練習の基本は人差し指ストレッチですが、6ポジションなどは小指ストレッチのほうがスムーズです。
Cでの練習にある程度慣れたら12keyでの練習に入りますが、時間がかかるので、一週間ごとに4度進行、5度進行と分けたほうがいいです。
半分だと6keyですが、初期はもっと少なくてもいいです。
一週間で1keyずつ増やしてもいいですね。
本気で取り組むことを前提とすれば、1年間はみっちりとやったほうがいいです。
他の練習法、あるいは曲を覚えることと同時進行で行います。
3、練習の時間配分
本格的なスケール練習に入った場合、気になるのは時間配分ですね。
プロを目指して1日12時間練習している人も居るでしょうが、ほとんどの人は毎日であれば1~2時間が限度でしょう。
毎日1時間練習(休みは自由)して休日には数時間練習という人をモデルケースにします。
1時間を15分の4トピックに分けて、
1.ダイアトニックスケール練習
2、アドリブの方法論
3、曲の暗譜
4、その曲を完成させる方法
1時間なら休憩時間はいらないでしょう。
15分と言うのは全音域であれば1keyしかできませんので、順番をメモしておく必要があります。
曲は2週間くらいでの完成を目指します。
4、スケール練習は進化させる
同じ練習法を一生やっている人は居ないと言うことは知っておきましょう。
最初は独奏の形式でしばらく練習しましょう。
リズム感がついている人には最高の練習方法ですが、これからの人は適当な時期で切り上げます。
次にメトロノームを使って、クリック音は表と裏を半々で使用します。
(本当の最初は4分音符で演奏します)
スピードは80~180を目安に苦手なテンポが無いようにします。
続いて3連と16分音符の練習になります。
忘れがちな32分音符の練習も必須です。
メトロノームに一段落ついたら、実際の演奏をカラオケで練習します。
ジェイミーなどカラオケのワンコード物を手に入れて、そのリズムで練習しましょう。
サウンドはモードになります。
4ビート、ラテン、8ビートなどノリを研究しつつスケール練習します。
5、ハーモニックな練習法
ダイアトニックスケールはダイアトニックコードの集合体ですので、順番に演奏することでダイアトニックのハーモニーを取り入れることが出来ます。
ドミソシラソファミ・レファラドしラソファ・ミソシレドシラソ・ファラドミレドシラ・ソシレファミレドシ・ラドミソファミレド・シレファラソファミレ・ド
逆行
シソミドレミファソ・ラファレシドレミファ・ソミドラシドレミ・ファレシソラシドレ・~
これを全音域で12keyで楽に演奏できれば相当な実力がつきます。
ハノン的なライン集も手に入れて出来る範囲で取り入れます。
(例 ドレミファ・レミファソ・ミファソラ・ファソラシ・ソラシド~
(例 ドミレファミソファラソシラドシレドミ~
毎日15分であればこれだけで1年間かかりますが、読譜力も含めて相当なレベルアップになると思います。
発売時期は古いですが生きたリズムの一発ものカラオケ
イオニアンスケールとドリアンスケールの2枚組
このだいぶ後にミクソリディアンスケールのものが出ていましてノリが非常に良いのですがアマゾンには無いです。
6、スタンダード進行に合わせたスケール練習
誰もが一度は考えますが、実行する人は多くないかもしれません。
まずはカラオケを用意します。
C△7 A7 Dm7 G7 各一小節ずつのカラオケを用意します。
C△7 ドレミファソラシ
A7 ラシ♭ド♯レミファソ
Dm7 レミファソラシド
G7 ソラシドレミファ
と演奏します。
続いて逆行
シラソファミレド
ソファミレド♯シ♭ラ
ドシラソファミレ
ファミレドシラソ
これを、3度、5度からも始めます。
C△7で ミファソラシドレ レドシラソファミ
ソラシドレミ ファミレドシラソ (ファはアボイド)
または5音で
C△7 ドレミファソ
A7 ラシ♭ド♯レミ
Dm7 レミファソラ
G7 ソラシドレ
それぞれ逆行、3度、5度 で。アボイドは解決させる。
この練習方法を12keyで出来れば大きく実戦に近づきます。
曲の第一歩はブルースです。
メジャーブルースとマイナーブルースで練習しておけばどんな曲でも可能になります。
続いて「オータムン・リーブス」「テイク・ジ・A・トレイン」等々
これらはどこまでいってもスケール練習ですが、良いリズムフィールを会得出来れば音楽的になるものです。
8、メロディック・マイナーとハーモニック・マイナーは?
これをスケール練習に取り入れると言うことは相当な時間が必要になります。
前項ではA7にAミクソリディアン♭2♭6(Dハーモニックマイナーの展開形)を使用しました。
理論的な理解があれば可能なことです。
時間に余裕がある人以外は全音域での練習は難しいでしょう。
メロディックマイナーは使用頻度が高いのである時期に集中してやると効果が上がります。
9、メロディック・リズム
4、の方法にメロディック・リズムを使用すると大きな効果が上がります。
メトロノームまたはカラオケに合わせて様々なリズムフィギアでスケールを練習します。
4分音符、2拍3連、8分音符、3連、16分音符、6連、を切り替えながら練習するのも重要です。
応用としてビバップ・チューンなどのリズムだけを書き出してスケール練習する方法もあります。
10、1年間練習した人は
さらに毎日スケール練習するかどうかは各自で決めてください。
私はしませんでしたが、時々思い出したように一通りやって見ると新しい発見があることもありました。
ダイア・トニック以外にもたくさんのスケールがありますし、ビバップ・スケールやブルーノート、トライアドのように直接実戦で使用可能なものも多いです。
総合的なかっこいいリックも覚えたいですし、誰もやっていない理論や奏法にも興味がありますしね。
それよりも重要な、曲を覚えると言うことがおろそかになるのはまずいです。
ジャズギタリストを名乗るなら最低でも、暗譜で50曲、譜面を見ればさらに100曲、歌伴ならさらに100曲は知っていたいところです。
最低でですよ。
もちろん、黒本2冊でほぼ網羅出来ますが、譜面を見ずにいつでも弾けるカッコよさに勝るものはありません。
上の練習配分でも曲の暗譜をスケール練習と同等としました。
沢山の曲をうろ覚えより、少ない曲を完璧にと言う見方もありますが、音楽は人間関係と言う基本をおろそかにしないためにも、多くの曲に当たっておく努力は最も尊いものだと主張します。
なので、6で紹介したスタンダード曲を使ってスケール練習する方法は、メロディの暗譜と合わせるとスーパー練習法になります。
11、最後に
スケール練習は、ともすれば音楽から離れていってしまいやすい危険性をはらんでいます。
何も考えずに弾いているのが楽だと感じたら良くない兆候です。
それでも楽器と言う物は演奏を続けていれば上達します。
ちょっと厳しい内容になってしまいましたが、こんなことやらなくても多くの人に感動を届けた音楽家が沢山いることも確かです。
スケール、特にダイアトニック・スケールは実戦に直接関与しないためにベテランは忘れがちですが、初期段階でこれを一切やらなかった場合はおそらくジャズと言う音楽とは離別してしまうでしょう。
スケール練習法の結論までにはまだまだ知るべきことがありそうな私ですが、今回の考察が少しでも役に立ってもらえたら光栄です。