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竹中ギー太の忍法帖

ノンポリギター弾きの日々異常無し日記

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ケニー・バレル Kenny・Burrell ジャズ・ギターの千両役者

 

ジャズギターの歴史上もっともフルアコースティック・ギターが似合う千両役者。

ミスター・ジャズ・ギターのケニー・バレルについてです。

 

 


Kenny Burrell Trio - Jeannine (1990)

 

1、ケニー・バレルの紹介

 

当時は自動車産業で活気ある街だったデトロイト出身。

1951年からプロ活動を開始し、1955年からニューヨークに活動拠点を移し、ブルーノートやプレスティッジ、ヴァーブなどで多数のリーダー作を発表しました。

 

その枚数は100枚を超えるようで、さらにサイドメンとして100枚くらいありそうです。

現在、87歳で存命、2009年頃にも新作を出していたようです。

 

実働機関が60年を超えると言うレジェンド中のレジェンドギタリスト、しかも常にジャズのメインストリームを歩んだ「千両役者」です。

 

1980年前後のフュージョン全盛期でさえ、ギタートリオでスタンダードを録音していたので、メインストリームなのか?という疑問もあるでしょうが、ジャズオールスターズへの登場頻度からも大物ぶりはうかがえると思います。

 

時代は変わってもいいんですよ。

でも、それに流されない「炎の守り手」も必要なのです。

 

ケニーバレルは黒人でありながらギリシャ神話の登場人物のような神々しさを持った、オーソドックス・ジャズの守護者に相応しい人物でした。

 

2、ジャズの最盛期を飾ったギタリスト

 

1955年、ハードバップの幕開けを告げた年にニューヨークに現れた若きギタリスト・ケニー・バレルは華々しくデビューしたように見えます。

これは日本人の感覚でしょう。

ブルーノートレーベルなど4大ハードバップレーベルのレコードが最も聴かれた国は日本だと言います。

 

ブルーノート1500番台の録音におけるケニー・バレルの活躍は驚くべきですね。

20枚以上に参加しているようです。

そんなこともあって、濃いジャズファン(ジャズ喫茶のマスターなど)にはジャズギタリスト人気No,1です。

 

 この二つで初期16枚網羅。


COMPLETE ALBUMS COLLEC

 

 


COMPLETE ALBUMS COLLEC

 

3、その影響力

 

バレル登場以前の主なジャズギタリスト。

 

チャーリー・クリスチャン、ジャンゴ・ラインハルト、フレディ・グリーン、タル・ファーロウ、バーニー・ケッセル、ハーブ・エリス、ジム・ホール

 

バレル以後の主なジャズギタリスト

 

ジョー・パス、チャーリー・バード、ウェス・モンゴメリー、グラント・グリーン、パット・マルティーノ、ジョージ・ベンソン、ジョン・マクラフリン、ラリー・コリエル

 

ジャズ・ギターの中心分野をバレルが持っていったために、極端な個性を打ち出すタイプが増えたようにも見えます。

弟分のグラント・グリーンだけは普通っぽいです。

 


Kenny Burrell Trio - Subway 1990

 

4、名盤が最も多いジャズギタリスト

 

活動期間が長くメインストリームに居たため、当然とも言えます。

ジャズが最も輝いていた50年代後半から聴くのが順当です。

70年代までの作品では、リーダー作に外れが無い優良ミュージシャンと言われていました。

 

サイドマンとしては常に必要とされる分よりちょっとだけ少なくを心がけていたように感じます。

ジミー・スミスとの共演が最も多いですね。

 

 

5、現代ジャズギタリストへの影響

 

21世紀に入ると活動は断続的になったため特に意識してる人は居ないでしょうが、今までほとんど無かったコピー譜面集が増えています。

 

存命と言うことで、物まねギタリストは居ません。やっぱり意識してるのかな。

バレル本人はルックスの面からも非常に大物ぶりが強いんですが、物まねは地味な印象になりがちかもしれないですね。

 


The Best of Kenny Burrell (Guitar Recorded Versions)

Kenny Burrell - Guitar Signature Licks

 

6、その演奏は

 

リーダー作では大卒らしい(?)理知的、学術的、で端正な作品が多く、襟を正して聞きたくなるような演奏です。

一転してジミー・スミスのサイドマンとしては、ジャムセッション的な熱いソロを聞かせてくれます。

サイドマンとしてはリーダーのカラーに合わせたバックアップで懐の広さがうかがえました。

これは、同郷で親友のピアニスト、トミー・フラナガンも影響を受けたのではと思います。

 

ブルージーなイメージが強いですが、スタンダードやハードバップの曲をスムーズに演奏する技術は50年代では追随を許しませんでした。

理知的ともいえる端正なブルースフレーズはパット・マルティーノなどに強い影響を与えたと思います。

 

 

7、ジャズの辛い時代を生き抜く

 

60年代後半から多くのジャズ・ミュージシャンが仕事を失いましたが、ケニー・バレルはぶれることなく一貫してハードバップの守り手でした。

 

70年代はイーストコーストで半年、ウェストコーストで半年の仕事をこなすのが常だったようです。

 

8、使用ギター

 

ギブソンのフルアコの愛用者で、長身だったため大型のものも似合いました。

175、L5、スーパー400、ヘリティジ・ケニーバレルモデル(スーパーイーグル)など。

ウェス・モンゴメリーのニューヨークデビュー作品では、ギブソンL4を貸したという逸話があります。

 

長身を生かして、スーパー400、スーパーイーグルといった18インチフルアコを抱えた姿は、誰にもまねできないような貫禄があります。

 

ピッキングフォームには特徴があります。

親指くねくねのサークルピッキング風フォームです。

極初期は違うのではないかと思いますが、このフォームによって危ういアタックから凛とした立ち上がりを表現すると言う唯一無二の音色を手に入れました。

徹底的に訓練されたリズム感があってのものです。

 

9、衰えない人気

 

ミスター・ジャズギターの呼び名に恥じない実力と人気、それがケニー・バレルです。

ジャズ喫茶が激減した現代は聞く機会がないかもしれませんが、間違いなく50年後も聞かれるジャズの一つです。

 

若いジャズ・ギタリストは一度どっぷりと浸って真髄に触れて欲しいものです。

 

 

ジョーパスのコピーで有名な三井さんが最近出した本

 
ケニー・バレルの軌跡 (ジャズ・ギター・インプロヴィゼイション)