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竹中ギー太の忍法帖

ノンポリギター弾きの日々異常無し日記

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一小節に4つ刻みのジャズギター・コードワークの解説

カウントベイシー楽団の副リーダー格で、ベイシーと共に看板スターであった「フレディ・グリーン奏法」について解説します。

 

 

カウントベイシー楽団は1936年、ニューヨークで「カウント・ベイシー・オーケストラ」として正式デビューを果たし翌年は「ワン・オクロック・ジャンプ」などのレコードをヒットさせます。

 

オール・アメリカン・リズムセクションとまで言われた強力なリズム隊が自慢でしたが、その要がギタリスト「フレディ・グリーン」です。

 

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40年代のビバップ革命によりスイングの3連のノリはドラムのシンバルに集中しますが、それ以前はすっきりとした4つ刻みのリズム隊とスイングするホーンセクションと言うのがジャズの基本でした。

 

 

一言で言うと、スイングジャズとモダンジャズではスイングする楽器が逆さまになったのです。

 

ベイシー楽団は大戦からの不況で活動停止になりますが、1951年にベイシーとフレディを中心に再結成され、ビバップ後のリズムに対応していきます。

60年代には名アレンジャー「サミー・ネスティコ」によりモダンで現代的なビックバンドに変化していきます。

 

 

フレディ・グリーンはベイシーより少し長生きし、オーケストラの要として最後までスターでした。

現在でもカウントベイシー楽団と言えば、フレディ・グリーン・スタイルの4つ刻みのギタリストが看板になっています。(白人が多いですが)

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目次

 

 

1、コード・ヴォイシング

 

それほど難しく考える必要はありません。

基本形は6弦、4弦、3弦、の安定したコードサウンドです。

あまりテンション系の音を入れるとスイングすると言う本来の目的が失われます。

 

6弦ルートコードの場合は、6弦がルート、4弦が6度か7度、3弦が3度になるように覚えます。

5弦ルートのコードは、6弦が5度、4弦が3度、3弦が7度です。

4弦ルートのコードは、6弦が3度、4弦がルート、3弦が5度です。

(5弦に最低音を置くフォームでも問題ありません)

 

コーラスの最後などトップノートにそのkeyのルートを当てたい場合は、

6弦に5度、4弦に3度、3弦にルートも考えられますが、これはスモールコンボの場合のみです。

 

コードサウンドはピアノと一体化しますので、ピアニストは上部の1~2音だけの演奏が理想です。

ピアニストはギターのコードが流れていることを意識して補助的なサウンドを演奏しなければなりません。

 

2、カッテイング

 

一拍刻みですので一小節に4回、ダウンのみでカッティングします。

4弦、2弦、1弦、は常にミュートされていますので、ピックの当て方も気を付けなくてはなりません。

 

もしも、一生この奏法だけで行く場合(普通は無いでしょうが)、常に座ってギターの表面版を上に向かせ、ピックは2本指でつまみ逆アングルになるでしょう。

 


Count Basie 5/1968 Sonny Payne, Freddie Green, Norman Keenan

3、左手のミュート

 

この場合は、指を浮かすミュートです。

弦から指を離さず浮かすことによってコードサウンドは途切れます。

この切れるタイミングが3連のノリを作ることによってギターのみでもスイングします。

あくまでも補助的なスイングですので、アンサンブルが重要になります。

 

楽器や歌手とのデュオでもスイングできるようになりたいですね。

メロ担当さんはモダンではなくスイングジャズのノリの習得が必須ですが。

 

4、アンサンブル

 

この奏法には対応性があまりありません。

音量程度の変化しかできないからです。

アンサンブルにおいては他楽器に理解と工夫をお願いすることになります。

ベイシー楽団のアンサンブルはそういうものです。

 

ギター側で対応するように指示された場合は、奏法自体を変えます。

フレディ・グリーン奏法にこだわりたい場合は、きちんと説明して理解してもらう必要があります。

フレディ・グリーンは1980年代までこの奏法だけで通しているので、現代ジャズとの相性が悪いわけでもありません。

しかし、音楽は人と人との信頼関係が最重要なのであまり意固地にならないほうが良いような気もします。

 

人という字は・・・   なのでw

 

5、バンドのルックス

 

15人前後のジャズオーケストラにおいてフレディ・グリーンの演奏フォームは、見る人にとってゴージャスで魅力的だったりします。

太り方や狂ったフォームも含めて狙っていますね。

大きく右手を振り続ける動作も見る人の心を高揚させます。

 

 

6、デュオ

 

チャーリー・パーカーの歴史的な名演奏「チェロキー」は4つ刻みのギターとのデュオです。

実はベースもいるようですがあまり意味が無いです。

 

ジョン・ピザレリは歌手やメロ楽器とのデュオを4つ刻みのみで伴奏する場合が多いです。

彼は80年代から現在進行形のジャズプレイヤーなので、終わった奏法とは言い切れないでしょう。

 

7、弾き語り

 

難しそうです。

私はチャレンジしたことがありません。

ジョン・ピザレリは4つ刻みで自由にスタンダード曲が歌えて憧れます。

メロ楽器やピアノのサポートがあれば、ヴォーカル・ジャズとして価値があるものになる可能性もあります。

 

8、最後に注意点

 

ジャズギタリストなら4つ刻みのコードワークはマスターしましょう。

ただし、アンサンブルは人と人との信頼関係で出来るものです。

この奏法の良い点と良くない点を理解して、信頼してもらえる伴奏を目指すことです。

 


フレディー・グリーンのリズム・ギター・スタイルで学ぶ スウィング&ビッグ・バンド・ギター【CD付】

 

出来ればフレディ・グリーンというジャズ界のスターを知らない人たちとは演奏したくないですが、時代の流れには逆らえませんね。

 

さすがにモードジャズやフリージャズやフュージョンジャズには対応しませんけど。