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竹中ギー太の忍法帖

ノンポリギター弾きの日々異常無し日記

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チャーリー・クリスチャン モダンジャズの開祖 スイングするシングルライン

1939年、ベニーグッドマン楽団に加入しジャズギターのみならず、ジャズと言う音楽ジャンルの改革者となった若き黒人ギタリスト、それがチャーリークリスチャンです。

 

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現在、クリスチャンの演奏を聴けるのは、「The Original Guitar Hero」と「ミントンハウスのチャーリークリスチャン」しかなさそうですが、前作がベスト盤と言うこともあり、探せば存在するのかもしれません。

 

目次

 

 

1、チャーリー・クリスチャンの生涯

 

1916年にテキサスに生まれオクラホマで育つ。

1939年、無名の黒人でありながらベニーグッドマン楽団に加入しスタジオ録音を残す。

1940年~1941年 ニューヨークのミントンズ・プレイハウスなどの店で若手ミュージシャンたちとジャムセッションを繰り広げる。

1942年、結核を患い病床に伏し、亡くなる。25歳

 

奇跡的に残っていたミントンハウスの海賊録音盤でクリスチャンが当時の若手ミュージシャンでは頭一つ抜けていたことが分かります。

ミントンズのハウスピアニストはセロニアス・モンクだったそうですが、ディジー・ガレスビー、ケニー・クラークなどが参加しています。

やや遅れて参加したチャーリー・パーカーとクリスチャンの共演は無かったようです。

 


Charlie Christian - Solo Flight

2、スイングするシングルライン・ギタリスト

 

若くしてスイングの技術を身につけるには音楽的才能が必要です。

せいぜい、すり切れたSP盤が数枚と言うのが練習ツールでしょうし、誰もクリスチャンに教えられるレベルに無かったと思われます。

 

30年代ジャズシーンにおいてもそれなりのインプロヴァイザーはエリントン楽団やカウントベイシー楽団に居ましたが、クリスチャンはそれを超えています。

音楽教育を受けていた白人ジャズメンのトップだったグッドマンの影響もあったでしょうが、それも超えていたようです。

 

ただ、この時期の白人ジャズメンは良くスイングしていましたので良い面での勉強は出来たのではないかと思います。

 

そして、ミントンズでは若手黒人ミュージシャンたちの注目の元、軽快なスイングを披露するのです。

当時としては垢ぬけたリックを次々と繰り出す録音は驚異的です。

 


The Best of Charlie Christian: A Step-by-step Breakdown of the Styles and Techniques of the Father of Modern Jazz Guitar (Guitar Signature Licks)

3、なぜ、シングルノートがスイングするのか?

 

これは簡単な答えがあります。

モダンジャズのレガートはクリスチャンのリズムを参考にケニー・クラークがあみだし現代まで続いいているものです。

クリスチャンのスイングはドラムに受け継がれたのです。

 

同様に圧倒的なスイングを持ったフランス人ギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」もモダンなドラミングとはあまり相性はよくありません。

シンバルと鉄弦ギターの音は似ているため被ってしまうのです。

 

 

4、スイングしなけりゃ意味が無い?

 

ジャズギターが一般リスナーに評価されない最大の理由は、スイングが感じられないからです。

と言い切ってしまいましょう。

 

イカさないスイングでも、スイングしない演奏よりはイカします。

ジャズギターをやったことがある人なら分かると思いますが、中抜き3連でシンバルワークと同一のリズムだとギターの音はかき消されます。

ケニーバレルのノリはクリスチャンの3連スイングから少しずらしたポイントにありますのでよく聞こえます。

 

鉄弦エレクトリックジャズギターはその音色から厳しい状況にあったと言えます。

 

5、ジャズギターで評価されるためには常識で考えては無理

 

ジャズで最も重要な要素はリズムですので、ギタリストは他の楽器よりも工夫が必要になります。

 

①スイングポイントをずらす

②音色を極端に変えてしまう

③ドラムレスあるいはシンバルレスでの演奏

④4ビートでないリズムを主軸にする

⑤ナイロン弦ギターやシンセギターの使用

 

などが考えられます。

全部心当たりがあります。

皆さん苦労していたんですね。

 

6、チャーリー・パーカーのスイング

 

クリスチャンの軽快で一定したスイングに対して、わずか1~2年後に現れたパーカーは複雑で一定しないスイングを操ります。

この間にケニー・クラークによるレガート奏法が完成され、天才チャーリー・パーカーは理想的なノリを作り出します。

 

しかし、その芸術的なリズムは観客を鼓舞し自然に体を動かしたくなるようなものではありませんでした。

ジャズは芸術音楽となりダンス音楽と一線を画することで、静かに衰退の道をたどることになります。

 

7、現代を生きるスイングとは

 

ジャズファンは第一にスイングするドラムを期待します。

 

元々はギターのものだったなんて時代錯誤ですから仕方ないです。

 

ドラムレスでスイングするギター演奏もありですが、ジャズの主役はドラムですので限界があります。

 

ジャズはダンスミュージックに戻るべきなのかと言う問題の答えは私には分かりません。

 

8、ジャズギターを学ぶうえでのチャーリー・クリスチャンの意義

 

これは非常に大きいと思います。

ジム・ホールの教則ビデオでは、ジムは嬉々としてクリスチャンの「ソロフライト」のコピーを弾いていました。

たぶん子供のころから何千回も弾いたのでは?という演奏です。

エチュードはクリスチャンである必要は無いかもしれませんが、ソロの完成度や丁度良い長さ、難しすぎない、そして理想的なスイングということでクリスチャンのソロはエチュード第一候補に推します。

いくら好きでも、難しすぎては弾けませんし、飽きてしまうようなものは最初から避けるべきだからです。

 

インプロヴィゼーションがエチュード?と首をかしげる向きもあるかもしれませんが、80年も前の録音ですから練習用と割り切ってもいいのでは、と思います。

 

ジャンゴと一曲ずつ覚えてノリノリで練習すればもっとジャズが好きになります。

結構早いので簡単ではありませんので、ゆっくり時間をかけてスイングを学びましょう。

 

 


Charlie Christian: The Definitive Collection (Guitar Recorded Version Tab)