ジャンゴ・ラインハルト「俺はパリのキング・オブ・スイング。」
ベルギー生まれのパリ育ち、天才という呼び名にふさわしい真のジャズ・ギタリスト、それがジャンゴ・ラインハルトです。
昨年、ジャンゴの映画が公開されたそうですが残念ながらまだ観ていません。
1910年から1953年、43年の生涯でしたが、人生のほとんどを演奏活動の中で過ごした「神の子」でした。
録音はたくさん残しましたが、SP盤のため現在では2枚のCDで聴くことが出来ます。
「インメモリアム」と「ジャンゴロジー」ですがもとはLP盤のため、ベスト盤ならだいたい入っていると言う状況です。
目次
- 1、ロマの旅芸人一座
- 2、1928年(18歳)
- 3、フランス・ホットクラブ・五重奏団
- 4、第二次世界大戦
- 5、神の子「ジャンゴ・ラインハルト」は世界へ
- 6、ジプシージャズとは
- 7、二本指のギタリスト
- 8、個人的な感想ですが
1、ロマの旅芸人一座
両親は旅芸人の一座におり、当然ジャンゴも子供のころから芸の習得が生きる糧だったようです。
ジャンゴはバンジョーを担当しており、この奏法がギター演奏の原型になったと思われます。
当時はバンジョーはハイテクなソロ楽器だったのに対して、ギターは歌手の伴奏が主な役割だったので。
1926年(16歳)バンジョーでの初録音。
2、1928年(18歳)
ジャンゴは楽器をギターに持ち替え、フランス・グラモフォンなどに録音を開始する。
10月26日、旅芸人一座のキャラバンが火事になり、仲間を助けるためにジャンゴは火の中に飛び込み半身に大やけどを負う。
右半身まひ、左手の薬指と小指の一部を失う大けがを負います。
医師には二度とギターは弾けないだろうと言う診断をされたのです。
3、フランス・ホットクラブ・五重奏団
ハンディを負ったジャンゴは必死の練習と工夫で誰にも負けない演奏法を編み出した。
1934年、フランス人ヴァイオリニスト「ステファン・グラッペリ」らと「フランス・ホットクラブ・五重奏団」という弦楽器のみのバンドを結成。
盛んに演奏活動と録音を行いました。
英米のラジオ番組でも紹介されて、一躍注目を浴びる。
4、第二次世界大戦
1939年、ナチスドイツはフランスに進行し第二次世界大戦が始まる。
フランス・ホットクラブ・五重奏団は解散に追い込まれるが、フランスに残ったジャンゴは占領下でもフランス国民に愛されるスターとなった。
アメリカでチャーリー・クリスチャンが正式デビューしたのは39年です。
モダンジャズ・ビバップの黎明期に正式録音が残されていないのは、アメリカが世界大戦に参加したのが原因で、クリスチャンの39年のベニー・グッドマン録音はギリギリセーフだったようです。
クリスチャンのデビューに際してギターを貸したと言われる「レス・ポール」はジャンゴの演奏を研究していたそうです。
Django Reinhardt & Stéphane Grappelli - Jattendrai Swing 1939 - LIVE!
5、神の子「ジャンゴ・ラインハルト」は世界へ
1946年、ジャンゴはデューク・エリントンに招かれ渡米します。
エリントン楽団のゲストとして全米を公演し、その名を知らしめました。
1949年にはローマでステファン・グラッペリらと共に多くの録音を残し、フランスに帰るとキャラバンの生活、いわゆるジプシー演奏家生活に戻ります。
1953年、ディジー・ガレスピーとの共演を果たし、スイスにも演奏旅行を行ったが次第に体調が悪化する。
スイスからもどった翌日、突然倒れ帰らぬ人となったそうです。43歳。
Django Reinhardt (Guitar Play-along)
6、ジプシージャズとは
ジャンゴの偉大な演奏に感化された後進のギタリストたちを指すジャンルです。
ほぼ一人でひとつのジャンルを創り上げたと言う驚異の音楽家ですが、ヨーロッパでの人気は日本では想像もできないほどです。
クリスチャンより年上で早くから驚異的なギターのインプロヴィゼイションを行っていましたが、聴き比べるとそれほどの影響はないと思います。
逆にクリスチャン以後のジャズミュージシャンがノリのヴァリエーションとして研究したように思えます。
7、二本指のギタリスト
ちょっと信じられませんが、ほぼ二本指だけでタル・ファーロウばりのハイテク・シングルノート・ラインを弾ききっています。
年代を考えても、最も初期のモダンジャズ・ミュージシャンと考えてもいいかと思います。
エリントンやグッドマンの完全な3連とは微妙に違う突っ込んだようなイーブンに近い3連のノリはビバップやコンテンポラリージャズに多大な影響を与えたと思います。
8、個人的な感想ですが
実はそれほど集中して聞いたことはありませんし、ジプシージャズの形態での演奏経験も数えるほどしか無いです。
割と後進のギタリストは良く聴いていた時期はあります。
ミーハー的ですが「ギター弾きの恋」という映画は非常に良かったです。
ジャンゴ(俳優)も一瞬登場してます。
今回調べて見たところ、ロマ音楽あるいはジプシースイングなど非常に幅広く奥深い音楽のようでちょっと驚きました。
今となってはジャンゴしか聞くことは無くなりました。
ジャンゴの音楽は良いです。
研究家には怒られるかもしれないくらい浅い知識ですが、時々聴かずにはおれない、いわゆるフェイバリット音楽の一つです。
初めてジャンゴの名前を知ったのは、ジョーパスの「フォージャンゴ」からですが、パットマルティーノやラリーカールトンやジョンスコフィールドや・・・とにかく多くのギタリストからジャンゴの影響が感じられました。
年を重ねるほどに好きになる、いわゆる本物ってやつですね。
Django Reinhardt Definitive Collection (Guitar Recorded Versions)