ジャズスケール理論 後半戦
スケール理論の後半となります
音楽理論は様々に分化していますが、クロマチックの机上の理論の一つです。
目次
- 6音 ヘキサトニックスケール
- 7音 へプタトニックスケール
- 8音 オクタトニックスケール
- 9音 エンネアトニックスケール
- 10音 デカトニックスケール
- 詳しくはこちらの記事へ
- 11音 ウンデカトニックスケール
- 12音 ドデカトニックスケール
- 最後に一言
6音 ヘキサトニックスケール
12音中から6音を選ぶものなので最も多種類のスケールが可能となります。展開形も多く数百のスケールが複雑に絡み合っています。
10年くらい前にヘキサト二クスと言う本で発表された理論を紹介します。
共通音を持たない二つのトライアドの結合によって出来る音列。トライアドを現すために二つのトライアドは交互にサウンドすることが条件。
例 D/Cヘキサト二クス CM7、C7、Am7、GMsus4、D7sus4 and more
順行 ドミソレファ♯ラ ミソドファ♯ラレ ソドミラレファ♯
逆行 ソミドラファ♯レ ドソミレラファ♯ ミドソファ♯レラ
2音ユニット ドミレファ♯ ミソファ♯ラ ソドラレ ドミレファ♯
4音ユニット ドミソドレファ♯ラレ ミソドミファ♯ラレファ♯ ~
Dm/Cmヘキサト二クス Cm7、F7 and more
ドミ♭ソレファラ ミ♭ソドファラレ ソドミ♭ラレファ
Bm/C、B/C、B+/C+、F♯/C、B♭/C、Bm/Cm、D/Cm、F♯m/Cm、D+/C+、Ddim/Cdim、Bm/C+、B♭+/C、Bdim/Cm、E♭m/C(ブルーノート)
などのヴァリエーションがあります。
特徴音を含むミクソリディアンモードのB♭/Cの使用も認められている。
分かりやすいサウンドなので、ペンタトニックのように気軽に演奏に取り入れられると思います。
詳しくは次の記事で
7音 へプタトニックスケール
7音のスケールの名称ですが、全音4つと半音2つというバランスの良い配置のものを特にダイアトニックスケールと呼びます。
マイナーの変化形「ハーモニックマイナー」は全音半を含みダイアトニックと呼ばれる場合もある。
バランス第一主義のためノンコードトーンを含むものが多く、ライン作成には注意が必要。
メロディ作成のツールとしての歴史が古く、ドリア旋法はもっとも初期のスケールのようです。
アドリブ手法として、すべてのコードをm7に変換してドリアンスケールを中心に考える方法があります。4トニックシステムを応用したクロマチズムにも合います。
4声コード理論はダイアトニックスケール上に造られるため、ジャズ進行においてはアベイラブルノートスケールという考え方が発達しています。これは次の8音スケールの考え方につながります。
8音 オクタトニックスケール
8本足のオクトパスと関係あるんでしょう
ダイアトニックスケールに経過音を一つ入れて8音にしたものが基本。通称ビバップスケール。
この考え方は、アベイラブルノートスケールの7度とルートの間(7thが強調)、5度と6度の間(6thが強調)の2種類が基本となります。7音の場合、それ以外の経過音では1オクターブ内でサウンドが変化してしまいます。
例 ドレミファソラシ♭シド Cミクソリディアンビバップスケール
ドレミファソソ♯ラシド Cイオニアンビバップスケール
ドレミ♭ファソラシ♭シド Cドリアンビバップスケール
ドレ♭ミ♭ファソラ♭シ♭シド Cフリージアンビバップスケール
その他、すべてのダイアトニックスケールで可能です。
実戦では応用であるビバップスケールの代理が多用されます。パーカーなどのビバップ時代にほぼ完成しました。
例 Am7に対してBフリージアンビバップスケールを下降系で使用。
コードトーンから一方向に進んだ場合、常にコードトーンが拍のアタマとなります。
コードトーンではない残り3つの音から始める場合は、拍の裏に別の経過音を追加し速やかに流れに戻してくさい。
方向転換やインターバルを使用した場合も同様です。
1~7音のスケールと併用することによって、ジャズのアドリブや作曲法がほぼ網羅されます。
コルトレーンチェンジは2拍ごとのチェンジ(3トニックシステムにドミナントを挿入したもの)にトライアド、テトラトニック、ビバップスケールをバランスよく使って表現しています。
CイオニアンスケールとDドリアンスケールなどが全く違うスケールになるのでそれぞれ練習が必要です。同じスケールもあります。(CイオニアンとAエオリアンなど)
オルタードやミクソリディアン♭2♭6などにも使用します。
詳しくはこちらの記事で
9音 エンネアトニックスケール
オーギュメントを3つ重ねたものである9音オーギュメントスケールが基本です。
よりハーモニックに変化させた、通称ハイブリットスケールは応用が利きます。
Cの9音ハイブリットスケール ドレレ♯ミファ♯ソソ♯ラシド
10音 デカトニックスケール
8音のビバップスケールにさらに2つの経過音を加えたもの
理屈はビバップスケールと同じですが、コードトーンが5つであるため制約が多いようです。
C 6(9) 10音ビバップスケール ドド♯レレ♯ミファソソ♯ラシド 新たに9thがコードトーンに
Cm7 (11) 10音ドリアンビバップスケール ドレミ♭ミファファ♯ソラシ♭シド 新たに11thがコードトーンに
これもすべてのアベイラブルノートスケールで可能です。8音の場合より同音スケールが増えます。
スケールの代理は複雑ではあるが8音より柔軟性に欠けるようです。
クロマチズムの一種とも考えられますが、コードサウンドを完全に再現できます。
Am7に対してBフリージアン10音スケールを使用
1弦B音から下降ライン シシ♭ラソソ♭ファミミ♭レド
詳しくはこちらの記事へ
11音 ウンデカトニックスケール
クロマチックとの見分けは1音足りないと言ことだけのようです。
その1音を次のサウンドを作るためのターゲットと考えれば、このスケールの実用性が生まれるかもしれません。
11音連続で使用することは無いですが、ターゲットノートに向かう音の塊のスケールと考えることは可能です。
12音 ドデカトニックスケール
これはクロマチックスケールしかありません。
楽器の技術習得にはクロマチック上下向の練習は欠かせません。
12音技法はランダムにクロマチックを12個使い切ることを基本に、音楽的な変更を最小限加えると言うものです。
ただのランダムでは無く、ランダムなインターバルを連続させると言う方法もあります。
最後に一言
以上、12種類のスケールの簡略化した説明になりました。
表現力が未熟なため伝わらない部分もあると思いますが、五線譜の使用などでこの項は出来るだけ進化させていきたいと思っています。
参考書籍
ハルクルック ハゥトウインプロヴァイズ
ジェリーバーガンジー インサイドインプロヴィゼイション1~7
チャーリーパーカー オムニブッック
これは浜瀬元彦さんの本ですが
チャーリー・パーカーの技法――インプロヴィゼーションの構造分析
ジョンコルトレーン オムニブック
ジャズアプローチによる音階大辞典
米在住の日本人が書いた12音の全ての組み合わせのスケール辞典。
展開形への対処法が斬新だった。まさにパソコン時代の本ですね。
この本は解説も丁寧で、とても分かりやすい良書です。
応用法は何も書いてありませんので、自分で考える人向けです。
ジャズ・アプローチによる音階大辞典 (THE COMPLETE THESAURUS OF MUSICAL SCALES)
編集後記
スケールで検索するとほとんどギタースケール教本です。ギタリストはスケールが好きですね。他の楽器の人のスケール練習本はほとんど無いです。ギター以外の人はスケールを譜面では無く理論で覚えているのだと思いました。
アマゾンで探してみたところ、まともな本はだいたい売り切れのようでして、まあジャズ理論なんて需要無いのかなと思っちゃいました。