ペンタトニックスケール 音楽理論
ジャズとロックの両面からペンタトニックスケールについて考えます。
ペンタとはラテン語で5を現します。
ペンタゴンとは五角形のことですが、12半音の12点円では正五角形は出来ません。
全音半と全音が混じった状態が最も正五角形に近いものですが、かなりいびつです。
目次
- 1、ブルースギター奏法
- 2、マイナー7thペンタトニックスケール
- 3、マイナー6thペンタトニックスケール
- 4、様々なペンタトニックスケール
- 5、アウトサイドペンタトニック
- 6、インサイドとアウトサイドのペアリング
- 7、最後に一言
1、ブルースギター奏法
ギターでは最初にペンタトニックスケールを覚えますが他の楽器では後回しになる場合が多いようです。
初心者ギタリストが半年もすればアドリブバリバリになっているのに、他の楽器がもたもたしているのはこれが原因です。
なんでもそうですが、楽をしてしまうとその後に悪影響が出ます。ピアノやサックスの人がコードトーンを意識した高度なインプロヴィゼイションに手を付けだした頃にも、ギタリストはペンタトニック+ブルーノートからの上昇志向が失われてしまっている場合が多いのです。
いきなりお説教の様になってしまいましたが、これがギタリストの良い点でもあり悪い点でもあります。
初期の状態でインプロヴィゼイションに慣れると言うのは良い点。そこにとどまってしまうのは悪い点です。
ペンタトニックスケールにはその良い点がギタリストたちによってクローズアップされてきたのです。良い点は学びましょう。
アルトサックスの革命家の一人デビッド・サンボーンはラリー・カールトンなどのギタリストに影響を受けたと言っています。ギタリストの多くはペンタトニックスケール中心のフレーズを演奏し、楽器の特性からも、最もペンタトニック奏法を発展させたと言えると思います。
ギタリストの多くは直感的にブルーノートスケール(6音階)とペンタトニックスケール(5音階)の類似点に注目し、混在させることによってブルース音楽を大きく発展させました。
ブルースにビバップスケールを多用したジャズ奏者は、6音→8音の方向性、ペンタトニックを多用したブルースギタリストは6音→5音の方向性と考えられます。
ブルースギター奏法は多様化していますが、根本はあまり変わっていません。
曲のkeyに対するブルーノートスケール(6音)と1音半下のマイナーペンタトニックスケール(keyに対するメジャーペンタトニックという見方もできるがここでは採用しない)の複合の探求です。
マイナーブルースと言うのはブルース進行にマイナーコードを当てた人工的なものであるという考えです。と言ってもこのおかげでブルースの可能性が2倍になったので無視することは出来ませんが。
二つのスケールを合体させると、ブルーノートから見て3度、6度、2度の音が追加されるので、9音スケールか!っとなりそうですが、歴史的に見て同時使用には制限があるようです。
それでも使用可能な音が多いことに変わりはありませんが。
純粋なペンタトニック理論とは違うようですが、非常に可能性の高い考え方なのでトップに記しました。
また、特筆すべき点として、ブルーノートスケール→マイナーペンタトニック的使用が挙げられます。
♭5度を抜くことによってマイナー7thペンタトニックスケールと同一となり、後に挙げるペンタトニック奏法が可能になるのです。
2、マイナー7thペンタトニックスケール
ここからは歴史関係なしに理論的ペンタトニックスケールの解析になります。
Aマイナー7thペンタトニックスケールは、ラドレミソの5音で構成されます。
Aマイナーテトラトニックスケール ラドレミ に7thであるソの音を追加した5音階です。
混乱を回避するために、スケールの成り立ちを説明します。
Aマイナートライトニックスケール Aマイナートライアド ラドミ
Aマイナーテトラトニックスケール Aマイナーテトラコード ラドレミ
Aマイナーペンタトニックスケール Aマイナー7thペンタトニック ラドレミソ
音がひとつずつ追加されて、バランスが良くなっていくのが分かります。
Cメジャー6thペンタトニックスケールと同一ですが、展開形に名前を付ける理由が無いので、この呼び名は封印します。ただしスケールの変形の際にメジャーと呼ばざるを得ないスケールも登場します。
Am7コードに対してAマイナー7thペンタトニックスケールを使用しますが、C△7コードにも同じスケールを使用します。
構成音はすべてインサイドの音であり、1オクターブに対してバランスの良いスケールです。
どちらの場合もトライアド+2、またはテトラコード+1であることは覚えておいてください。
5音階ですが4音パターンまたは3音パターンの練習が基本です。
ラドレミ ドレミソ、レミソラ、ミソラド ~ ドラソミ、ラソミレ、ソミレド、ミレドラ ~
レラドレ、ミドレミ、ソレミソ、ラミソラ ~ ソドラソ、ミラソミ、レソミレ、ドミレド
このような4音パターンをいくつか覚えてアドリブラインに取り入れます。
ドラド、レドレ、ミレミ、ソミソ、ラソラ ~ ドラド、ラソラ、ソミソ ~
この3音パターンはジミー・ペイジが良く使います。
メロディックリズムやオクターブを超えるインターバルの使用なども良く見られます。
Am7コードに対して、Aマイナー7thペンタトニックをローワーストラクチャー、Eマイナー7thペンタトニックをミドルストラクチャー、Bマイナー7thペンタトニックをアッパーストラクチャーと考えて同様に使用します。
この考え方は、トライアド、テトラコードと同じです。
3つのペンタトニックを混ぜるとドリアンスケールになりますので、サウンド的に問題を感じることは無いでしょう。
ヘキサト二クスの模倣として、Aマイナー7thペンタトニックとBマイナー7thペンタトニックを交互に使用する奏者も多いようですので、新たな理論の可能性があります。
C△7コードに対しても同様の使用が可能ですので、m7と△7の12keyのカラオケを用意すれば相当なボキャブラリーを得ることが出来ます。
3、マイナー6thペンタトニックスケール
マイナー7thペンタトニックスケールの7thを半音下げて6thにしたもので、7thコードに良くマッチします。
Am7→D7 の進行において大きな変化はソ→ファ♯ですので、Aマイナー7thペンタトニック→Aマイナー6thペンタトニックの変化と同じと考えられます。
この6thのスケールも7thと同様のパターンで練習しましょう。
構成音の関係上、アッパーストラクチャーなどは存在しませんが、裏コードなどにコンバージョンすることによってオルタードサウンドを得ることが出来ます。
D7一発のファンクなどには、Aマイナー7thペンタトニック、Bマイナー7thペンタトニック、Dマイナー7thペンタトニックなどが限定的に使用できますが、Aマイナー6thペンタトニックであれば構成音の全てがインサイドです。
4音パターンであれば、複雑なビバップ進行においても7thコードやオルタードとして使用できます。
これで一応、どんなコード進行、または一発であってもペンタトニックのみで対応することが可能になりました。
4、様々なペンタトニックスケール
マイナー6thはマイナー7thの音を半音下げることによって得られましたが、残りの4音についても考えてみましょう。
① A音を下げる
A音が無くなりますのでスケール名にはCメジャーが復活します。
Cメジャー♭6ペンタトニックスケール です。
② C音を下げる
これはEマイナー7thペンタトニックスケールの展開形になります。
③ D音を下げる
Aマイナーではなくなります。
Cメジャー♭2ペンタトニックスケールと呼びます
C♯ディミニッシュのサウンドが出来上がりますので、C7、E♭7、F♯7、A7、で使用可能。
④ E音を下げる
Aマイナー7th♭5ペンタトニックスケールと呼びます。
まさしく読んで字のごとくです。
⑤ Aマイナー6thペンタトニックスケールのA音を下げる
G♯ホールトーンペンタトニックと呼びます
AマイナーサウンドでG♯ホールトーンスケールを使用する奏者(ピア二ストに多い)がいますが、相当なスピード感が無いとA♯音が間違って聞こえます。(アウトですし)
G♯ホールトーンペンタトニックはG♯ホールトーンからA♯音を除いたものと同一です。
AマイナースケールとしてもG♯関連のホールトーンスケールとしても使用可能です。
それぞれのスケールは様々な使用方法が考えられます。ペンタトニックのスケールパターンが助けになると思います。
5、アウトサイドペンタトニック
ぺンタトニックの構成音の1音以上がアウトサイドである場合はアウトサイドペンタトニックスケールと呼びます。
5音と言うのは比較的音の数が多いため、1音だけ違う場合と、全ての音が違う場合では相当なサウンドの差が起こります。
すべてを単にアウトサイドではくくれないと思います。
1音アウト、2音アウト、3音アウト、4音アウト、5音アウト、と五段階に分けてアウト性の高い後半をアウトサイドペンタトニックとして使用している奏者が多いようです。
と言うことは、前半のペンタトニックに理論的余地があるのかもしれません。
この件に関しては新事実をつかみ次第加筆したいと思っています。
皆様、ぜひご指導を。
6、インサイドとアウトサイドのペアリング
インサイドペンタトニックでもローワーかミドルのものと、アウト性の高いペンタトニックを交互に組み込んだパターンを言います。
双方がサウンドするように2音~4音使って交互に使うと機械的なラインが出来ます。
片方のサウンドが完全にアウトですので長時間の使用は避けるべきですが、方向性が一致している場合などは、ほとんど違和感なく聞ける場合も多いです。
また、スピード感がある場合はアウトサイドとしてのサウンドで調和する場合もあります。
7、最後に一言
以上が私が知るペンタトニック理論です。
すべて、ラドレミソの5音、またはブルーノートスケールが始発点になっていますので、これ以外の理論的余地は大きいと思います。
音階大辞典にも大量のペンタトニックがありますので、新事実を知った場合にはこのページに加筆、または新理論として新たにまとめたいと思っています。
ペンタトニックは応用範囲が広く、新しい音楽が出来ると共に進化する理論です。
世界中のどんな音楽にでも楽しさを加えられる素晴らしい音楽理論です。
運良く(運悪く)この記事を読んでしまった音楽演奏家がさらなるインプロヴィゼーションの奥地に足を踏み入れられるように祈りつつ筆をおきたいと思います。
私が愛用しているフジテレビの動画サイトです。ノイタミナアニメが好きなんです